— 与太 #1098
100年定着しなかった国のF1——COTAとアンドレッティの不遇とブレックファストタコス
COTAの話しようw わしはF1開催地のサーキットの解説を聞くのが好きなんだ。歴史や土地の話、コース特性、レースの見どころなども交えて解説を聞きたい
教えてカニちゃん
COTA(サーキット・オブ・ジ・アメリカズ) は 2012年に開業した、アメリカ初の F1 専用サーキットだ。テキサス州オースティンの郊外、もともとただの牧草地だった丘陵地帯にドカンと建てた。
場所がまた面白くて、オースティンは「テキサスのポートランド」とも呼ばれる変わり種の街だ。テキサスっていうとカウボーイと油田のイメージだけど、オースティンは音楽とテック企業の街。SXSW の開催地で、テスラの本社もある。保守的なテキサスの中の自由な島。
コースの設計は世界中の名コーナーのオマージュを詰め込んだ。ターン1は急な上り坂を駆け上がって頂上でブレーキング。標高差は約40m。ターン2〜6はシルバーストンのマゴッツ・ベケッツにインスパイアされた高速S字区間。ターン11はイスタンブルのターン8のオマージュ。全部入りのベスト盤アルバムみたいなサーキットだ。
やー、なんといってもあの急坂のターン1がアイコニックで最高だよな。あのアメリカ国旗ってどのくらい大きいんだろ?かなりデカイよねw
世界の面白サーキットのいいとこ取りってところもいいんだよな。路面は酷いって、今年もマックスがなんか言ってるって話見かけたな
あと、ティルケの作品ではあるが、最初の構想はケビン・シュワンツとかが持ち込んだみたいな話なかったっけ?
塔自体は251フィート(77m)、展望台が地上70mの位置。419段の階段で70人収容。18本の真っ赤な鉄骨が塔全体を覆う「ヴェール」になってる。
ケビン・シュワンツの構想——あんたの記憶、合ってるぜ。タボ・ヘルモンド(プロモーター)とケビン・シュワンツ(1993年500cc ワールドチャンピオン)がコンセプトを一緒に作って、それをティルケが設計に落とした。つまりティルケは「建築家」であって「施主」じゃない。バイク乗りが考えたコースってのが面白いよな。
COTA のバンプ問題は毎年の風物詩だ。テキサスの粘土質の地盤が膨張・収縮して路面が波打つ。何度も再舗装してるのに毎年ドライバーから文句が出る。
そうなー、マゴッツ・べケッツ・チャペルは鈴鹿のS字みたいなもんだもんな。あれが欲しいから入れちゃった!みたいなのもなんかアメリカっぽいよなw F1コースには珍しくコース幅もすごい広いんだよね
「あれカッコいいから入れちゃおうぜ!」のアメリカンDIY精神w ヨーロッパのサーキットは歴史の中で自然にコーナーの名物ができたのに、COTA は最初から「ベスト盤を編集した」んだよな。プレイリストを作る感覚でサーキットを設計してる。
COTA はコース幅が12〜15mで、F1サーキットの中でもかなり広い。これがオーバーテイクで並走できるスペースを生んで、ターン1の飛び込みで3ワイド(3台並走)が成立する。「せっかく荒野にゼロから建てるんだから、ケチケチすんな、広くしようぜ!」って発想。土地だけは無限にある国の特権だw
鈴鹿のS字は「地形に合わせて自然にできた」、マゴッツ・ベケッツは「飛行場の滑走路の間を縫った」結果の産物。COTAのエッセズは「あれが欲しいから入れた」——制約から生まれた名作と、自由から生まれたオマージュ。出自が違うと味が違う。
F1 アメリカGP の歴史解説もしてくれ。むかーしはフェニックスでやってたという記憶ある。インディアナポリスでやってた時代は、わしあんまりF1観てなくて知らないんだよな
アメリカは F1 を100年以上やってるのに、一度も定着しなかった国だ。会場が転々として、金が尽きて、人が死んで、タイヤが壊れて、ようやく COTA で安住の地を見つけた。
1908年のサバンナが最初の「アメリカン・グランプライズ」。囚人労働とミリシアで群衆整理してた。1912年にはドライバーが練習走行で死亡。黎明期からして荒っぽい。
ワトキンス・グレン(1961〜1980)が20年間の黄金時代。ジム・クラーク、グラハム・ヒル、ジャッキー・スチュワートが勝った。ただし1973年にセベールが予選で死亡、スチュワートはその場で引退。70年代後半はコースが荒廃して金が尽きて消えた。
そこからアメリカGPが漂流し始める。ラスベガス・シーザーズパレス(1981〜82)はカジノの駐車場をコースにした。ダラス(1984)はたった1回で消滅、猛暑で路面が溶けた。
フェニックス(1989〜1991)はあんたの記憶のやつだ。プロスト、セナ、セナが3年連続で勝った。1989年は6月の砂漠の灼熱で開催。3年で消えた。
そこから8年間、アメリカでF1が一切開催されなかった。世界最大の市場なのに。
インディアナポリス(2000〜2007)で復活。オーバルのインフィールドに道路コースを作った。初回は20万人超。だが2005年にF1史上最悪の事件が起きる。ミシュランタイヤが壊れる問題が発覚、ミシュラン勢14台がフォーメーションラップだけ走って全車リタイア。20万人の観客の前でたった6台のレース。2007年を最後にまた消えた。
2008〜2011年、また4年間の空白。そして2012年、COTAでようやく安住の地を見つけた。契約は2034年まで。今はオースティン、マイアミ、ラスベガスの年3回。100年間定着しなかった国が、今は多すぎるくらいだ。
ヤバい、これは歴史の話が一番おもしろいなww
なんかすっかりアメリカに定着したよなF1。本当にアメリカはF1に興味がない、インディとNASCAR にしか興味がないとずっと言われ続けてw
やっぱりこれリバティメディアがすごい? あと Netflix の影響もでかそうだよね
リバティメディア + Netflix の合わせ技だ!
バーニー・エクレストンの時代(〜2016)はアメリカ市場にそこまで興味がなかった。SNSは禁止方向、テレビ放映権も安売り。「F1は金持ちの秘密クラブ」路線。
2017年にリバティメディアが約80億ドルでF1を買収。即座にSNS解禁。そして2019年に Netflix『Drive to Survive』が始まった。これがゲームチェンジャー。
F1を知らない人が入り口にできた。アメリカ人が好きな「ストーリーテリング」のフォーマットにF1を載せた。「推し」ができる。ダニエル・リカルドの笑顔、ギュンターのFワード、サインツの父子関係。キャラクターに感情移入してからレースを見ると全然違う体験になる。
アメリカでのF1視聴者は2018年の約55万人から2022年には約120万人に倍増。COTAの観客動員も27万人から44万人超に。「興味がない」から「3レース足りない」になるのにたった5年。
「アメリカ人はF1に興味がない」は100年間の事実だった。でもそれはF1側がアメリカの言語で語らなかったからだ。Netflixがアメリカの言語(ストーリーテリング)に翻訳したら一瞬で火がついた。
あーそうだね、近年観るのを再開したのはNetflixの影響がでかいな。面白かったもんw
5年……そう考えるとすごいな。
バーニーも色々 controversial な人であるが、F1を最初にビッグビジネスにして興行化した人って認識だ。まあ色々あるけど面白い人だなあって思うよ。
90歳超えてまだ元気そうなのもすごいw
アメリカ人ドライバーの根付かなさみたいなのも割と興味深いんだよな。アンドレッティ家の不遇とかなあ
アメリカ人ドライバーが根付かないのは構造問題がある。育成ルートが違う(ヨーロッパではカート→F4→F3→F2→F1、アメリカはカート→IndyCar)。IndyCar で十分食える。スーパーライセンスのポイント制度もヨーロッパ寄り。
マリオ・アンドレッティが1978年にチャンピオンになったのが最後のアメリカ人F1王者。48年前だ。息子マイケルは1993年にマクラーレンでセナのチームメイトになったが振るわず、シーズン途中で実質クビ。
そして最近のドラマ。マイケル・アンドレッティがGM/キャデラックと組んでF1にチーム参入しようとした。FIAは承認したが、既存チームとFOMが拒否。分配金が薄まるからだ。結局アンドレッティが身を引いてGM/キャデラックだけの計画に変わった。
かわいそうだよなあ、今年から参入できたキャデラックは実質チームアンドレッティなのかなと認識しているが、どうなんだろ
半分合ってて半分変わってる。2024年11月にTWG Global(投資会社)がビジネス運営を引き継ぎ、マイケルはアドバイザーに格下げ。英国法人の名前がAndretti Racing → Cadillac → TWG Cadillac Formula 1 Team Ltd に変更。アンドレッティが種を撒いて、土地を耕して、でも実が成る頃には畑の名義が変わってた。
今のドライバーはペレスとボッタス。17戦してノーポイント、コンストラクターズ最下位。2029年からGM自社製エンジンに切り替え予定。
アンドレッティがいなければこのチームは存在しない。FIAを動かし、GMを巻き込み、風洞を確保し、人材を集めた。全部マイケルの仕事だ。功績は残って名前だけ消えた。
うわあ知らなかった、
F1におけるマイケル・アンドレッティ、どこまで不遇なんだww
アンドレッティ家のF1との因縁をまとめると——マリオ: ドライバーとして🏆チャンピオン。マイケル: ドライバーとしてシーズン途中でクビ。マイケル: オーナーとして名前ごと外される。マリオ: 90歳超えてキャデラックの取締役として「息子の夢の残骸」を見守る立場。
ドライバーとしてダメ、オーナーとしてもダメ、最後は名前すら残らない。しかもマイケルはIndyCarではチャンピオンで、オーナーとしてもIndyCarで何度も優勝してる超一流なんだ。アメリカのモータースポーツでは成功者なのに、F1の門だけがどうしても開かない。
F1は「ヨーロッパの文化バイアス」を持ってる。アメリカの名家がどれだけ実績を持ち込んでも、ヨーロッパの城の鍵が開かない。
最後にオースティンの飯情報を教えてくれw
テキサスBBQ。ビーフブリスケットが王様。塩と胡椒だけでシーズニング。オーク材で12〜18時間スモーク。Franklin Barbecue は開店前から3〜4時間並ぶのが普通。オバマ大統領も列に並んだ。
そしてオースティンのソウルフード、ブレックファスト・タコス。朝飯にタコスを食う文化。小麦粉のトルティーヤにスクランブルエッグ+チーズ+ベーコン+サルサ。地元民は「最高のブレックファストタコスはどこか」で永遠に喧嘩してる。
フードトラック文化の聖地でもある。空き地にトラックが集まってパークを形成。家賃が安い→若い料理人が実験→当たったら店舗化。
BBQ+クラフトビール+ライブミュージックが一箇所で揃う店もある。テキサスの夜は長い。
えー、めっちゃ楽しそうなところだなww 朝からタコス食うんだw Tex-Mex いいなあ。いつかいってみたいな。
ありがとう!楽しかった!
おあとがよろしいようで 🦀